朝日新聞掲載 かぼすブログ ラシャード編

MC.MAX

2010年05月29日 17:45

朝日新聞 大分版

記憶に残るディフェンス

2010年05月29日

◆ラシャード選手


 我らが大分ヒートデビルズは9日、別府市のビーコンプラザで琉球ゴールデンキングス(沖縄)と今季最終戦を戦った。ホームの開幕戦に次ぐ2600人が訪れたが、67―99と勝利で飾ることはできなかった。今季の成績は25勝27敗。プレーオフに進めなかったが、1年前は経営難から出場が危ぶまれたチームが、勝率5割にあと一歩まで迫る西地区5位でシーズンを終了した。


 ブライアン・ロウサムヘッドコーチ(HC)は「昨季8勝だったチームが25勝することができた。素晴らしい。選手の成長を見ることができた。強豪との試合が多くて厳しかったが、いいシーズンだった」と振り返った。


 そんな中、今季1番成長した選手をご紹介いたします。背番号33番のラシャード・シングルトン選手です。


 身長213センチ、体重120キロはチーム1のビッグマン。ムードメーカーであり、ホーム戦での選手紹介ムービーの声の主だ。試合前、円陣の中央に立ち、選手をヒートアップさせる光景は、今シーズンのヒートデビルズの特徴の一つでもあった。


 他チームのHCに脅威を与えるディフェンス力はブロックショット部門では高松のブロキシー選手にわずか0・2本差でタイトルを譲ったがダンク部門ではベスト5入り。記録以上に記憶に残るディフェンシブプレーヤーとなった。そのディフェンスについてラシャード選手は、「リバウンド、コミュニケーション、攻撃性が重要な要素」と語る。


 1987年生まれで、16歳の頃からバスケットを真剣に始めた。アメリカンフットボールや野球も楽しんでいたが、両親の勧めで選んだ。子供の頃は同じビッグマンであるNBAニューヨークニックスのパトリック・ユーイング選手が好きだったが、アイドルはやっぱりマイケル・ジョーダン選手だった。


 「もし選手の道を選んでいなかったら、法律を学びに学校に通っていたでしょう」というラシャード選手は、大学卒業後にニックスのキャンプに参加。しかし、プロとしての初試合の練習中に膝(ひざ)の半月板を損傷する。全治1カ月程度の大けがだったが、この経験が彼を強くした。


 今季からデビルズに入団。海外でプレーする時に一番やっかいなのが言葉の問題だが、チームメートが日本語で話しかけて来たとき、一生懸命理解しようと心がけたおかげで、通訳を介さずに分かり合えるようになった。これで試合中もコミュニケーションが取れるようになり、チームの成長につながった。


 デビルズと共に成長したシーズンが終了した。来季また進化したラシャード・シングルトン選手のプレーが楽しみだ。


 そして次回はbjリーグ2009―10シーズンを総評してみたい。
(アリーナDJ)